昨日7月7日(月)、サントリーホールで行われた『第10回イマジン七夕コンサート21014』
『ルネ・コロさよならコンサート』に行って来ました。

イマジン七夕コンサートは名前から分かる様に、毎年七夕に開催しているそうです。
今年は10回目。
特別ゲストはルネ・コロさんです。
10年の歴史があるコンサートだとは知りませんでした。
パンフレットによると、コンサート・イマジン自体は、今年で創立20年を迎えたそうです。
ルネ・コロ

指揮者は、井﨑正浩
東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団

出演 ルネ・コロ(テノール)
小松英典(バリトン) 白川佳子(ソプラノ) 蔵野蘭子(ソプラノ) 城守香(アルト)

司会者 山形由美、加藤昌則

 

ルネ・コロさんはドイツを代表するヘルデン・テノール歌手です。

知らない方がいるといけないので、あえて書きますが、日本で有名なテノール歌手と言えば、
ルチアーノ・パヴァロッティ、プラシド・ドミンゴ、ホセ・カレーラスの三大テノールですよね。

ルネ・コロさんは、この三大テノールに匹敵する実力の持ち主です。
三大テノール以上かもしれません。

私がかつてウィーンに短期留学していた時、ウィーン、ミュンヒェン、ベルリンetc.
各地でコンサートやオペラを聴きまくりました。
色々な劇場で色々な歌手の歌を聴いて、一番最高だと思ったテノール歌手が、ルネ・コロさんでした。
当時既に全盛期を過ぎていたはずなのに、本当に素晴らしかったです。

そのルネ・コロさんが引退してしまうなんて寂しい限りです。

ルネ・コロさんは1937年11月20日生まれの、76歳!
むしろ今まで現役だったのを喜ぶべきですね。
こうしてお別れコンサートを日本で開いてくれるなんて感激です。

昨日、舞台に現れた姿を見た時は「年取ったなぁ~」って思いました。
でも表情は昔のまま、活き活きとしていました。

年齢を考えると、どれだけの歌声が出るのか正直不安だったので、かなり前の席を買っていました。
前過ぎてオケが聴き難いのは覚悟の上です。

でも流石サントリーホール!
上野の東京文化会館で最前列に座った時は、酷く音響が悪かったですが、
サントリーホールはかなり前の席でも、舞台後方の壁や天井から上手く音が反響して、
音がこなれて聴こえます。
それでもバランスを考えると、もうちょっと後方で聴きたいですが。

オーケストラは、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団です。
どうして東京フィル呼ばないかなぁ。。。。。
オケには全然期待していなかったのもあって、前の方の席にしたんですよね。

ところが、いい意味で昨日は期待を裏切ってくれました。
このオケ、少し成長したなのかな、だといいな。
3月に東京文化会館で聴いた時は、本当に酷かったんですよ。
でも昨日の演奏は、ほんのちょっと危なかしく感じた部分もあったけれど許容範囲内、
前に聴いた時より、いい演奏をしていました。

ルネ・コロ1
ルネ・コロ2

プログラムは第1部はワーグナーのオペラから、第2部はオペレッタからの構成でした。

ルネ・コロさんが歌ったのは、第1部ではタンホイザーのローマ語り。
第2部は、ジプシーよ来たれ、マキシムへ行こう、メリー・ウィドウ・ワルツ、ぶどう酒の燃える流れに~
上記の5曲でした。

ルネ・コロさんは、メリー・ウィドウ・ワルツの冒頭だけ日本語で歌っていました。

ルネ・コロさんの歌を聴いて、不安が吹き飛びました。
すごく響く綺麗な歌声、たっぷりの音量、表現力も素晴らしかったです。
まるで人間楽器ですね。
タンホイザーのローマ語りは、とても迫力があって引き込まれました。

やはり桁違いに上手です!
まだまだ歌えるのに、これで引退するのは勿体無い…
だけど年齢を考えると、ワーグナー全幕を歌うのは体力的に辛いものがあるでしょうね。

ルネ・コロさんはヘルデン・テノールだけど、声質が明るいのでオペレッタもよく合っています。
元々オペレッタ系が得だったんですよね。

途中、トークのコーナーもあり、バリトン歌手の小松英典さんが通訳しました。

この年齢まで歌える秘訣は、何も考えない事。
何があっても運命だと思って難しく考えない。

今はベルリンとマジョルカ島に住んでいる。
(多分、主にベルリンに住んでいて、マジョルカ島にもよく行くと言う意味だと思います)

そんなお話をしていました。

トークなんかあったものだから、だんだん感傷的になってしまって、
ミュンヒェンで始めて聴いた時の事を思い出して、マズイことに泣きたい気分になりました。

ルネ・コロさんの歌を聴くのもこれが最後だと思うと、うるうるです。

誰も泣いてなんかいないのに、一人で泣くのはかなり抵抗あります。
泣くのは恥ずかしいので、絶対に堪えなければなりません。

こんな風に感情のコントロールが突然出来なくなるのは、老化現象?
それとも脳炎? 悪い脳の病気だったらどうしよう… なんて、まさかね。

何度かかなりマズかったですが、なんとか堪えて泣かずに帰れて良かったです。

またベルリンに行けばルネ・コロさんの歌を聴ける機会があるでしょうか?
引退しちゃうんだから無理かな。

寂しいけれど、最後にまだ充分余力のある素晴らしい歌声が聴かせて貰えて大満足でした。
一生のいい思い出になります。

Vielen Dank !

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